学会長メッセージ

-会長挨拶-

 農村計画学会長の一ノ瀬友博です。農村計画学会は1982年に発足した学会で、2022年に発足40周年を迎えます。約900の会員、団体会員によって構成され、研究者や学生に限らず、多数の実務家、地域活動家に参加いただいています。対象とする領域は、農村地域に係わる、社会、経済、法律、建築、土木、緑地、地理、環境科学など、多岐にわたります。「農村」と学会名にありますが、漁村、山村、そして都市も対象領域に入ります。
 農村計画学会は、春と秋に大会を開催し、年に5号の学会誌を発行しており、そのうち1号は大会特別号です。大会特別号に掲載された論文は、秋に行われる大会において研究発表がなされます。加えて、毎年韓国農村計画学会と交流セミナーを実施していて、2年に一度は日本で開催されます。その他、各地で行われる地区セミナー、オンラインセミナー、講習会、若手会員によって運営されている若手ネット、委託研究、政府への提言、出版事業等を行っています。
 農村計画学会は、農村地域、農村環境に関心のある方の参加を歓迎します。かつてはもっぱら日本の農村地域についての研究が中心でしたが、今では広く海外に対象領域は広がり、扱われているテーマも必ずしも農業に限定されません。また、実務や地域で活動する方の様々な成果も積極的に発信されています多様な分野の専門家が集まる学際的な学会だからこそ生み出せる交流が魅力であると思います。
 農村計画学会は毎年4月の春期大会に合わせて総会を開催し、2年に一度は役員の改選となります。私は2020年4月に第20期会長に就任し、任期は2022年4月までです。理事、監事、顧問、評議員の皆さんは、別途ホームページに紹介されていますのでご覧下さい。この4月から新たに災害対応委員会という委員会を発足させました。東日本大震災をうけて、2011年に大震災復興特別委員会を設け、これまで様々な活動をしてきました。2020年度は、東日本大震災から10年という節目の年でもありますし、近年各地で災害が多発している状況を鑑み、初めて課題対応型常置委員会を設置しました。
 20期は、新型コロナウイルス感染症拡大の混乱の中でスタートしました。人が密集していることがリスクとされる中、そもそも人口密度が低く、食料生産を担っていて、自然環境に恵まれている農村地域が再び注目を浴びています。2020年4月末時点で、既にアフターコロナ、ウィズコロナという議論も始まっています。この状況が今後どのようになっていくのか、現時点では分かりませんが、変動の激しい時代の農村地域のあり方を多くの皆さんと議論していければと考えています。

20期会長 一ノ瀬 友博